免疫のアクティベート
アクティベートとは聞き慣れない言葉かもしれませんが、パソコンの世界ではよく使われる単語で、有効化という意味です、動作していない機能は言わば眠っている状態ですが、 何かアクションを行なってそれを起こすという意味になります。パソコンの場合はソフト上でスイッチを入れたり、USBメモリーなどのキーを挿入して有効化するといった方法が行われます。
免疫機能、特に腸管免疫機能の場合は、腸内に存在する乳酸菌などの個体としての菌体が、直接腸壁に触れたり免疫細胞に取り込まれるなどで、菌体が持っている情報が免疫器官(受容体)に提示され(伝わる)方法と、 腸内菌が代謝した成分が液体状で免疫器官に伝わる方法の2通りによって、免疫機能がアクティベートする仕組みがあると考えられます。
固体の菌体成分が腸壁に接触し情報伝達を行う機会より、数百種・数百兆匹の腸内細菌の代謝した微小な液体成分が直接吸収される方が、はるかに吸収量が多いと考えられます。 乳酸菌の生産物質が免疫機能に直接働きかけて、機能をアクティベートする、と表現する理由がここにあります。代謝物の中には免疫器官に伝えたいシグナルが情報として含まれていると考えると、液体の代謝物を濃縮することで、シグナル伝達効率を増やすことも可能です。
このうち、乳酸菌などの菌体が代謝する生理活性物質の候補として、代謝物中に存在する細胞外分泌顆粒の総称である EV(Extracellular Vesicle)も注目されており、ラクトザイムの中に存在するEVの機能について研究を進めております。
ここで、免疫力は何才まで維持できるのかという疑問があります。私は、100才を超えても免疫機能自体は活発に働いていると考えます。 むろん、免疫機能も種類が多く全ての機能が衰えていないとは言えませんが、生命を維持するために備えられた最前線の機能として、最後の最後まで残っているのが免疫力だと考えます。
もし、免疫機能が衰えていたら、100才の方は風邪をひいたら最後、ということになりますが、そんなことはありません。ガン患者のはずが、免肺炎などの感染症で無くなる老人が多いことは、 免疫機能が衰えたことで体内に存在するがん細胞を駆逐する機能の低下によりむしろ、侵入してきたウイルスなどの外敵と戦う抵抗力がなくなってしまったと考えられます。
免疫機能は何才になっても健在である、ということは、腸内細菌の老化によって免疫機能のスイッチが入れられなくなっているだけであって、スイッチを入れてアクティベートすることができれば、再び免疫機能が活発に働き、健康を取り戻せると考えます。