腸内環境は改善するか
腸のリノベーションはできないにも、腸内環境とは何を指す言葉なのかについて書いたが、ここでは「改善」という言葉について考えてみたい。
ウィキペディア(Wikipedia)によれば、改善とは『 誤りや欠陥、ミスを是正しより良い状態にする事、行為』とある。
また、weblio辞書でも『改善とは、より好ましい・望ましいものへ改めること、及びそのための創意工夫の取組み、の意味で用いられる表現』であり、 改善の使用例として「業務プロセスの改善」「二国間関係の改善」などとある。
いずれも、改善されたとは良い状態が継続している結果を指すもので、すぐに元に戻るような場合は改善されたとは言わないはずだ。
つまり、一時的に状態が良くなっただけなら『好転した』のような表現が相応しく、すぐに元に戻ることが分かっているのでは、 体にとって戻った状態が正常な状態なのだから、これは腸内環境の改善とは言えない。
本質は変わっていないのだから。
これを腸内環境の改善という言葉に当てはめてみたい。
ヨーグルトを食べたら糞便中のビフィズス菌が増えたというデータをもって、腸内環境が改善したと宣伝しているメーカーがある。これはビフィス菌が増えただけで喜んでいるレベルで、数が増えただけでは免疫力が上がったことにはならない。 老化して活性度が下がった年寄り菌が増えただけかもしれない。
老化する腸内細菌にも書いたが、腸内環境の悪化、すなはち腸内細菌の老化は遺伝子レベルでプログラムされたものだということが判明した。
ヨーグルトや食物繊維を摂り続けることにより、一時的に腸内細菌のバランスが代わることはあり得る。
また確かに、若く腸内菌の活性度が高い頃からプロバイオティクスを摂り続ければ、あるいは遺伝子のプログラムである、腸内菌の老化を、ある程度は遅らせることができるかもしれない。これはそのようなコホート研究を待ちたい。
何れにせよ、腸内環境の改善という言葉の影には、腸内環境が改善すると思わせて製品を買わせたいという、メーカーの意図がこの言葉の裏に見え隠れする。