マスコミの話題は何故ワクチンばかりか
結論を先に書きますと、乳酸菌生産物質のような直接的に免疫システムに影響を与えるようなアイテムの存在を、知っている人が少ないからです。また、腸管免疫機構が脚光を浴びたのは、ここ十数年の間のことですので、マスコミに登場するような中高年の医師が在学中に、腸管と免疫との関わりを医学的に具体的に解説するような授業は行われておらず、その意味では腸管と免疫に関する知識や知見は、よほどそのジャンルを掘り下げて研究しているような医師しか持っていないのです。
流石に、生命科学の最先端で研究をしている大学の研究室に在籍しているような教授や学生ならば、腸管免疫に関する知識は豊富ですが、彼らに『腸管免疫を刺激して免疫力を高めるような機能を持った製品を知っていますか?』と質問をすると、残念ながらほとんどがヨーグルトという答えが返ってきます。
私自身も、そのような研究室や学生と共同研究をすることも多いのですが、乳酸菌生産物質のような製品を紹介することはできても、その詳しい製法などノウハウに関する重要な部分を公開することはできませんので、彼らが乳酸菌生産物質についての、具体的なイメージを持つことはできません。業界や学会自体がそのような状況ですので、腸管免疫系を刺激するものはヨーグルトのような乳酸菌飲料しかないと、この世界に生きている学者も医師もみな、乳酸菌の生産物質には目が向いていないのです。
また、医師の仕事というのは、厚労省が定めた診療報酬制度に従って診察や治療を行い、厚労省が決めた薬価に基づいて薬を処方し報酬を得ることです。薬価が存在しない健康食品を患者に勧めたり購入を促すことは報酬につながらないのでしません。むしろ、怪しげな健康食品に騙されないように気をつけなさいと、注意することが仕事だと思っていますし、現実的にそれは当然です。
また、免疫系には自然免疫と獲得免疫があることくらい、マスコミに登場するほどの専門家ならば、当然ご存知でしょう。言葉の上では。しかし感染症が専門の学者や研究者であっても、今までの研究生活や臨床業務の中に、乳酸菌生産物質の様な自然免疫を強烈に刺激する機能性を持ったアイテムが存在していないのですから、それを知るわけがありません。コロナウイルスとの戦いについての彼らの認識としては、概ね以下のような内容です。
- ウイルスと直接戦うマクロファージなどによる自然免疫には限界がある。確かに自然免疫を高めておくことができれば良いが、そのような最適な方法や薬は今はない。
- 免疫を刺激することができるのはワクチンだけだ。インフルエンザなどもワクチンのおかげで『罹(かか)らない』ようになるのだ。コロナもウイルスに合ったワクチン開発が最優先課題だ。
しかしある意味、現在の状況は私たちにとっては有利な状況かもしれません。試しに、『免疫力を高める方法』などのワードで検索してみてください。『笑う・四肢を温める・バランスの取れた食事をとる・適度な運動・楽観的に物事を考える・・・』などなど、極めて消極的な方法ばかりです。選択肢がない市場で、オンリーワンのアイテムを販売することができたら、釣りでいえば『入れ食い』の状況になるはずですが、現実はなかなかそうはいきません。その理由はいくつかあります。
- 医師や学者の言うことを否定し、乳酸菌生産物質が自然免疫系を刺激することを証明するには、学術的に明確なエビデンスが必要で、それには大変な手間とお金が必要だ。
- 健康食品等ジャンルに位置する乳酸菌生産物質について、効果や効能を謳うこと自体が、薬事法に抵触するので、広めにくい。
- 乳酸菌のジャンルでは生産物質自体はマイナーで、効果が低くても世の中みんな大手メーカーを中心とする乳酸菌飲料の世界に呑み込まれている現実の中では、宣伝しにくい。
- 乳酸菌生産物質を製造販売しているメーカーの中には、ほとんど機能性がなかったり、製造した製品を希釈して効果を下げて販売している企業もあり、それらの商品との差別化にエネルギーが必要だ。
上記の障害を乗り越えるためには、やはり販売者の皆さんが豊富な知識を身につけ、自信と情熱と経験を元に、お客様に商品をお勧めすることができるようになることが必須です。